現在の史跡公園に建つ祈念碑は、広くみなさまに公開するために、元の場所より直線で50メートルほど移築している。
移築場所も榊原弱者救済所のあったところなのだが、元々の場所はどこかとよく聞かれる。
今は元の面影もないので言いようもない。
せめて、写真をみてほしい。移転直前の祈念碑である。
このまま雑木林の中に埋もれるより、現在の方がずいぶん、亀三郎もよろこんでくれるだろう。
元の場所に「三本足の狐」がいた。亀三郎に撃たれ怪我をした白い狐だ。写真はその狐の住処だ。昭和40年ごろまで、ここを祀るおまつりもあったという。この地に残る大切な伝説である。あの巽聖歌(南吉の親友・童謡「たき火」の作詞者)もここに来ているようだ。
新美南吉も、この話を下敷きに、名作「狐」を書いた。
この実話、詳しく書きたいが、拙書「幸せの風を求めて 榊原弱者救済所」を読んでほしい。鴉根と亀三郎と南吉の物語である。